条例で充電器完備の新築物件が増加
EVを活用した先進エコマンションも
条例を通じてEV・PHVインフラ設備導入を推進している江東区では、毎年約70のマンションが新築されている。その中でエコと防災が整備されたタワーマンション「パークタワー東雲」が、今話題だ。
居住者に向けたEV車のカーシェアリングサービスも。利用者は自動車メーカーのカーシェア専用HPから予約し、専用の宅配ロッカーで鍵の受け渡しを行う。ひと月60件ほどの利用があるとか。
充電設備やカーシェアなどを積極導入。江東区の環境整備も後押しに
タワー型エコマンションとして評価が高い「パークタワー東雲」。建物の中央には巨大な吹き抜けがあり、自然の光と風を共用部に多く取り入れている。セラミックコーティングを施した外装や高潮対策など、防災機能も充実。また、EV・PHVを保有する居住者は、充電用コンセント付属の駐車場を利用することができる。
自然エネルギーを活用して
充電設備をコントロール
2014年3月に入居スタートした43階建てのパークタワー東雲は、30代のファミリー層を中心に、全585世帯入居している人気のエコマンションだ。オール電化で、EV・PHV用の駐車場も完備している。
「320台収容できるタワーパーキングに充電用パレットが32台あり、契約者はEV用のカードを使って、車の認識やパレットへの移動など、一連の動作をスムーズに行えます。また、平置き駐車場にはEVカーシェア用の充電器を2基設置。EVから住宅へ給電できる「V2Hシステム」を導入しているため、緊急時にはEVバッテリーをマンション共用部の電源にすることもできます」(三井不動産レジデンシャルサービス 前田氏)
「震災後は耐震や津波対策などの問い合わせも増えていますが、一方でエコライフに関心が高い人も増加。居住者に長く住み続けていただくためには、修繕費をどれだけ抑えられるかも重要です。今後は、200年後も持続可能な「サステナブル住宅」がマンションの主流になっていくでしょう」(清水建設 設計本部 集合住宅設計部 原田氏)
EV充電器の指導要綱を制定し
約2割の新築マンションが導入
区民の90・2%が「ずっと住み続けたい」と答える江東区は、30~40代を中心に、年々住民が増加(平成26年は6810人増)。江東区では、小中学校の増設や待機児童の解消を目指した取り組みを行う一方、新築マンションに向けたエコへの呼びかけなど、環境面の整備にも力を入れている。
「2010年8月に制定した『マンション等の建設に関する条例』に、EV用充電設備の設置に関する指導要綱を盛り込みました。国の補助金制度を案内しながら、マンション建設の早い段階で声をかけるようにしています。近年は、約2割の新築マンションに充電器が取り付けられています」(江東区 環境清掃部 温暖化対策課 小林氏)
江東区は、充電器設置をマンションへ推進するだけでなく、公共施設にも積極的に導入。2015年9月オープンの複合施設「豊洲シビックセンター」には急速充電器1台、普通充電器7台(うちコンセントタイプが6台)が設置される。
ソーラーパネル、電力会社、EVバッテリーを転用した蓄電池の電気を組み合わせたマイクログリッドで、マンションの共用部にかかる電気量をコントロール。緊急時にはEVの電気を蓄電池に送ることも可能だ。
江東区役所の駐車場に設置された急速充電器は、区役所の開庁時間内に無料で利用できる。月40~50件ほどの利用があり、新規利用者や区外から訪れるユーザーも多いという。
パークタワー東雲
【住所】 東京都江東区東雲1-9-4 【充電器設置場所】タワーパーキング ほか
【充電器タイプ】普通充電器(コンセントタイプ) 32台 カーシェア用の普通充電器 2台
【充電料金】駐車料金+1,500円/月【利用可能時間】24時間
※原稿は、2015年1月21日に取材した内容を元に作成。