125基を複数のコントローラで一元管理
新たな大量EV・PHV充電器の運用モデルを構築
日本屈指の大規模複合施設「東京ミッドタウン」では、2015年1月、125基のEV充電器を導入。NECとの共同開発により、コンパクトで最先端のEV充電システムが誕生した。
2015年1月に稼働開始した125基の充電器。一般用の平面駐車スペースの8割をカバーしている。車の後方に歩行用の通路を確保するため、専用ポールと充電器を一体化させた新タイプを開発した。
デザイン性と省スペース化にこだわり、充電器の大規模導入を実現
2007年3月にオープンした東京ミッドタウンは、広大な緑地と7つの建物で構成。約130のショップ&レストランのほか、日本を代表する企業30社、約500件の住宅、ホテル、美術館が集う。施設内にはアートも数多く点在し、日本発のデザインを世界に広める拠点にもなっている。
充電コントローラで
全ての充電器を遠隔操作
年間約3000万人の来客数を誇る東京ミッドタウンは、NEC協賛のもと、地下駐車場の一般利用者エリアに125基の充電器を設置。約2年にわたって40人以上が携わった大型プロジェクトによって、他に類を見ない大規模な充電システムを構築した。
「東京ミッドタウンにふさわしい、スタイリッシュな設備にするため、プロジェクトにはデザイナーも参加。ケーブルの長さや配置場所のほか、カラーバランスなども考慮し、利便性だけでなく、デザインに関しても細部にわたってこだわりました」(東京ミッドタウンマネジメント 磯崎氏)
「充電器と操作部を切り離した、コンパクトな充電器を新たに開発。30基の充電器を操作できるコントローラを7台設置していますが、それぞれ連携しているため、1台で全ての充電器をコントロールすることができます。現在は最大12台の同時充電に対応。今後の利用状況を見ながら対応台数をコントロールしようと思います」(NEC 組込みビジネス営業本部 工藤氏)
充電コントローラとスマホを
連携させるサービスも検討
充電器は国の補助金を活用して導入。東京ミッドタウンへの充電器導入で培ったノウハウを活用しながら、新たなビジネスも検討しているという。
「スマートフォンに充電完了のお知らせを発信するなど、利用者にとってさらに利便性の高いサービスを提供していきたいと思っています。また、その他の商業施設への大量導入も推進していきたいですね」(工藤氏)
充電時間の設定や精算をはじめ、充電コードの脱着以外の操作は全て充電コントローラで行う。先に充電時間を設定するが、実際に充電に要した時間分のみ課金されるシステムになっている。
約1200台を収容できる地下駐車場には、充電設備の案内板が数多くあるため、迷うことなく、充電エリアに到達できる。充電スペースは、EV・PHVユーザー以外の車でも自由に利用可能だ。
「EVユーザーにとって、どこに停めても充電できることが何よりの魅力です。それを実現するためのひとつの方法が大量設置ですが、検討の際は、施設単独ではなく、充電器メーカーなどと連携することで、その施設に最適な充電設備を整えられると思います」(磯崎氏)
東京ミッドタウン
【住所】 東京都港区赤坂9-7-1 【充電器設置場所】地下2階駐車場(P2エリア一部)
【充電器タイプ】普通充電器 125台
【充電料金】NCS(日本充電サービス)対応のカード、または最初の
15分37.5円(税抜)、以降1分あたり2.5円(税抜)※クレジットカード決済【利用可能時間】24時間
※原稿は、2015年1月16日に取材した内容を元に作成。