自治体の枠を超えた連携で
全国の「道の駅」充電ネットワーク確立へ
2015年6月現在、全国1059の道の駅のうち、充電設備を設置しているのは390駅。
「道の駅」連絡会では、道の駅同士の連携を高めながら、
充電インフラ拡充に取り組んでいる。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージさせる「めがね橋」の上流に位置する「道の駅 みやもり」にも急速充電器を設置。雪避け用の屋根も取り付けている。
補助金を活用しながら、道の駅への充電設備導入を推進
「道の駅 遠野風の丘」は、花巻と釜石の中間地点に位置し、充電スポットとしても大きな役割を担う。月に25件ほどのEV・PHVユーザーが充電設備を利用しており、「安心して遠野に来られるようになった」「充電中に道の駅でゆっくり買い物を楽しめる」という喜びの声も。充電待ち渋滞を避けるため、1回あたりの充電を30分に設定している。
充電設備が
防災機能強化の鍵にも
補助金制度の拡充もあり、近年、充電設備を導入する道の駅が急増。休憩、情報発信、観光案内、地産地消に加え、EV・PHVの充電スポットとしての役割も期待されている。
「道の駅を機能強化することで、地域産業の振興に加え、雇用も拡大します。そこで、2011年12月に立ち上げた『全国「道の駅」連絡会』主導のもと、各駅を特徴付けながら、市町村の枠を超えた道の駅同士をつなぐプロジェクトに取り組んでいます。
東日本大震災後、遠野市ではガソリン供給が安定するまで約1カ月かかった一方で、電気は2日で復旧しました。この時、エネルギーインフラの重要さを再確認するとともに、防災・交通の要衝である道の駅への充電設備設置が急務であることを痛感。道の駅の充電ネットワークを構築すべく、今後も全国の道の駅に設置を呼び掛けていきます」(全国「道の駅」連絡会会長・岩手県遠野市長 本田敏秋氏)
各方面からの充電ルート確保
移動を楽しめる環境づくりも
本田氏が市長を務める岩手県遠野市では、2015年4月、道の駅をはじめとする5カ所に充電設備を導入。各方面から訪れるEV・PHVユーザーの充電ルートを確保した。
「遠野市内に普及しているEV・PHVは20台ほどですが、盆地である遠野市は、各方面をつなぐ重要な峠筋。“遠野に行けば充電できる”と印象づけたいと思い、導入を決めました。また、充電設備がある施設とEV・PHVユーザーの双方にとって、充電中は貴重な時間。地域の特色を出しながら、食事やショッピングを楽しんでいただけるようなサービスを充実させていきます。
岩手県内の道の駅における充電設備設置率は未だ13%程度なのに対し、山形県内の道の駅では、100%導入されています。この山形県の取り組みを好例として、自治体との連携も図りながら、安心して移動を楽しめる環境を整備していきたいと思います」(本田氏)
遠野市街地の観光拠点として「遠野市民センター」の駐車場にも充電設備を導入。観光客のほか、市民会館やスポーツ施設の利用者、隣接する宿泊施設の利用者にも開放している。
「人口減少社会において、大切なのは地域間の“絆”。全国の道の駅を強い絆で結び、観光から福祉、防災まで機能を充実させ、安心して暮らせる地域社会の形成をサポートしていきたいです」(本田氏)
岩手県遠野市
【充電器設置場所】道の駅 遠野風の丘、道の駅 みやもり、産直 ともちゃん、夢産直 かみごう、遠野市民センター
【充電器タイプ】利用会員カードの会員料金または1分50円
【充電料金】 充電に利用した電気代のみ(利用対象者:居住者) 【利用可能時間】24時間
※原稿は2015年7月9日に取材した内容を元に作成。