*サイト公開情報を元にH27年度に調査した内容を掲載。
※文中の「ピュアEV」「純電気自動車」「全電動乗用車」は、「EV」と解釈する
39の都市群で新エネルギー自動車普及を推進
※直轄市は北京市など最高位の都市、計画単列都市は直轄市よりランクは下がるが経済上重要な都市を表すものと予想される。一般都市は具体的な語句ではないが、計画単列都市以外を意味するものと予想される。地域類も同様だが、地図を見る限り、都市のいくつか集約した地域群を表すものと予想される。
出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分科会」「中国における新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉衛調研員)」
中国では国や自治体が主導で、新エネルギー自動車の普及に取り組んでいる。2015年11月29日に行われた「日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会」の「第9回日中省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分科会」において、39の新エネルギー
自動車普及モデル事業参加都市における新エネルギー自動車(EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車。レンジエクステンダーを含む)、FCV(燃料電池車)の普及台数は、2015年9月末現在で累計18万台超になったと発表された。
さらに、2025年における中国自主ブランド新エネルギー自動車の年間販売目標として、300万台を掲げている。また、中国では既に原材料の供給から駆動用バッテリー、VCU(Vehicle Control Unit)などの主要部品の研究開発・生産までの産業チェーンが完成し、EVやPHVの車種もかなり増えている様子だ。
EVに関して、中国の電気自動車メーカのトップは「北汽集団」で、2015年現在、同社の「北汽EVシリーズ」の販売台数(2015年1~9月)は世界5位となっている。
■2015年9月末現在、新エネ車普及事業39都市(都市郡)の累計は18万台超
出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分科会」「中国における新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉衛調研員)」
■39のモデル事業参加都市(都市郡)、目標普及台数30万台超
■普及車両の用途・種類別割合
注1)出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム
次世代自動車分科会」「中国における新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉
衛調研員)」
注2)右側のグラフの分類は、割合の高い順にEV乗用車(青)、PHV乗用車(赤)、EVバス(緑)、
PHVバス(紫)、EV特殊車(水色)に該当すると予想される
■2011~2015 新エネルギー自動車販売台数
注1)出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム
次世代自動車分科会」「中国における新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉
衛調研員)」
注2)棒グラフの分類は左から、ピュアEV(青)、プラグインハイブリッド(赤)に該当すると予想される
注3)図中の「2015年10月」の値は、2015年1月~10月の累計値と予想される
■2015年第1~3四半期の世界の新エネルギー自動車市場 ブランド販売台数(台)
車種ブランド | 技術路線 | 2015年1~9月 | 2014年順位 | ||
---|---|---|---|---|---|
販売台数 | シェア | 順位 | |||
日産聆風 | 全電動 | 35948 | 10.8% | 1 | 1 |
テスラModel S | 全電動 | 31618 | 9.5% | 2 | 2 |
三菱アウトランダーPHEV | プラグイン | 28791 | 8.6% | ||
比亜迪(BYD)泰 | プラグイン | 26156 | 7.9% | ||
宝馬(BMW)i3 | 全電動 | 18040 | 5.4% | 3 | 3 |
ルノーZoe | 全電動 | 11782 | 3.5% | 4 | 4 |
北汽EVシリーズ | 全電動 | 10344 | 3.1% | 5 | 10 |
フォルクスワーゲン e-Golf (1~8月) |
全電動 | 10110 | 3.0% | 6 | / |
シボレー・ボルト (1~8月) |
プラグイン | 9501 | 2.9% | ||
フォルクスワーゲン・ゴルフGTE (1~7月) |
プラグイン | 8361 | 2.5% | ||
その他 | / | 142472 | 42.8% | / | |
総計 | / | 333123 | 100.0% | / |
出典:「北汽集団の新エネルギー自動車の発展 及び北京における新エネルギー自動車普及応用
(北汽集団新エネルギー部劉偉副部長)」
■北汽新エネルギー自動車製品
出典:「北汽集団の新エネルギー自動車の発展 及び北京における新エネルギー自動車普及応用(北汽集団新エネルギー部劉偉副部長)」
税制優遇
現行施策としては、2014年8月に財政部、税務総局、工業・情報化部が発表した「新エネルギー自動車車両購入税免除に関する公告」が実施されている。
また2015年4月には新たに、財政部、科学技術部、工業・情報化部、発展改革委員会共同で「2016~2020年新エネルギー自動車普及財政支援政策に関する通達」が発表された。
■現行施策(「新エネルギー自動車車両購入税免除に関する公告」)
- 優遇方法:純電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)(レンジエクステンダー式含む)、燃料電池自動車(FCV)について車両購入税を免除
- 優遇期間:2014年9月1日から2017年12月31日まで
- 製品要件:鉛蓄電池でないこと。ピュアEVは航続距離要件に、PHVは複合燃費要件に適合すること。重要部品供給期間は品質保証要件(5年または10万キロ)以上。新エネ車特別検査に合格しかつ基準要件に適合すること。
出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分科会」「中国における
新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉衛調研員)」
■新施策(「2016~2020年新エネルギー自動車普及財政支援政策に関する通達」)
- 補助範囲:ピュアEV、PHV(レンジエクステンダー式含む)、FCV
- 補助対象:消費者(支給金額=販売価格-補助金額)
- 特色:ピュアEVの航続距離基準を80kmから100kmに引き上げ
補助の逐年縮小幅拡大(FCV補助は縮小なし)
全長6~8m、8~10mのPHVバスに対する補助を追加
<具体的な補助率>
出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分科会」「中国における
新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉衛調研員)」
補助金施策
2015年11月末現在、新エネルギー自動車普及応用都市(群)に組み込まれている39の都市(群)、88の都市のうち、およそ37の都市(群)、62の都市が新エネルギー自動車関連政策175件を打ち出している。そのうち、46省市が新エネルギー普及計画において補助金基準を明確にしており、25省市が新エネルギー自動車補助金細則を設けている。
■2015年の地方政府の全電動乗用車に対する補助金(万元)
※補助金額の幅の差は航続距離の差に由来する。★は補助金が販売額の60%以下のものを表す
注1)出典:「北汽集団の新エネルギー自動車の発展 及び北京における新エネルギー自動車普及応用
(北汽集団新エネルギー部劉偉副部長)」
注2)2016.1.20現在、一人民元は約18円(ヤフーファイナンス より)
充電インフラ目標
2014年末現在、既設のバッテリー充電・交換ステーション778カ所、交直流充電パイル約3万1000台だが、今後はさらに積極的に推進。『2020年までに、集中型充電・交換ステーション 1.2 万カ所を、分散型充電パイル 480 万本を設置し、中国における500万台の電気自動車の充電需要を満たす。』という目標を掲げている。
■インフラ建設
注1)出典:日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会「第9回省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分
科会」「中国における新エネルギー自動車 政策と進展状況(発改委機械装備処呉衛調研員)」
注2)棒グラフ(青)は充電・交換ステーション箇所数、折れ線グラフ(赤)が充電ポール台数に該当すると予想される
注3)左から2011年、2012年、2013年、2014年末の数値だと予想される
■充電インフラ目標(2020年まで)
<集中型充電・交換ステーション>
<分散式充電パイル>
出典:「中国の電気自動車充電インフラ発展政策(国家能源局電力司武震幹部)」
■グラフの内訳
<集中型充電・交換ステーション>
グラフ左より
- 公交专用
- 公共サービス分野の専用駐車場。路線バスの充電・交換ステーション3,850カ所以上
- 出租专用
- タクシーの充電・交換ステーション2,500カ所以上
- 环卫物流专
- 環境衛生・物流などの専用車両の充電ステーション2,450カ所以上を新たに設置
- 城市公共
- 都市の公共駐車場。交通拠点、大型文化・スポーツ施設、都市の緑地、大規模建築物の付帯施設として設置された駐車場、路上のパーキングエリアなどに、都市公共充電ステーション2,400カ所を設置
- 城际快充
- 都市間高速道路のサービスエリアに1,000カ所以上の都市間スピード充電ステーションを設置する
(グラフには800カ所と記載)
<分散式充電ポール>
グラフ左より
- 用户专用充电桩
- 住宅地区。ユーザー専用充電ポールを280万本以上設置。また、機関・組織内部の駐車場。公共機関、企業・事業所、オフィスビル、工業団地などに、ユーザー専用充電ポールを150万本以上設置。さらに条件を備えた施設の一般大衆への開放を奨励する
- 分散式公共充电桩
- 都市の公共駐車場。交通拠点、大型文化・スポーツ施設、都市の緑地、大規模建築物の付帯施設として設置された駐車場、路上のパーキングエリアなどに、都市公共充電ステーション2,400カ所と分散型公共充電ポール50万本を設置