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あなたの街のEV・PHV

*H24年度調査内容を元に掲載

EVタクシー導入の背景

2020年までにタクシーの3分の1をEVに移行する目標を掲げる

アメリカ合衆国最大の年であるニューヨークは、「ビッグアップル」の愛称で知られる世界屈指の大都会。ウォール街やブロードウエイ劇場街を抱え、世界の金融やエンターテインメントの中心地でもある。地下鉄や路線バスなど多くの交通機関が24時間運行しており、交通網の整備も早くから進んでいたが、特に「イエローキャブ」の相性で親しまれているのがタクシー。その黄色いカラーリングのボディはニューヨークの街並みを象徴する存在だ。

ニューヨーク市では、前翅長のマイケル・ブルームバーグ政権下で「2020年までにシないタクシーの3分の1をEVに移行する」政策を打ち出した。約1万3000台といわれる全タクシーの3分の1、つまり4000台超のEVを導入しようという壮大なプランである。その先駆けとして、2013年4月22日の「アースデイ」(地球環境を考える日)より、日産自動車製EV[リーフ」を使用した試験サービスを開始。6代のEVタクシーを1年間限定で試験運用し、将来的な実用化を見据えている。ニューヨークのタクシーは、1台あたり年間9万6000km以上を走行するため、その3分の1をEVに移行させた場合の環境対策効果は極めて大きい。

ニューヨーク市の資産によると、2020年にタクシーのEV化が目標を達成した場合、CO2排出量の70%以上が削減可能となり、年間排出量に換算すると9万トン以上が減らせると見込んでいる。さらに、ニューヨーク市ではガソリン代や保守コストなどEVタクシーへの移行による財政上のメリットも視野に入れている。

充電インフラに関しては、国内仕様と同じ急速充電器を市内2箇所に設置。蓄電池要領の80%を約30分で充電できる。さらに普通充電器は市内約100ヶ所に設置されており、現在は6台のみの運用なのでこれでも賄える。ただし、将来的な本格導入のためには、急速な充電インフラの整備が必要となる。ニューヨーク市タクシー&リムジン協会では、「2020年時の目標である全タクシーの3分の1をEVに移行すると仮定した場合、450~500箇所に急速充電器の設置が必要になる」と見込んでいる。ともかく、2013年末で退任したブルームバーグ前市長に替わるビル・デラブシオ新市長が前市長の政策をどう引続賀が注目されるところだ。

今後への展望

ニューヨーク市タクシー&リムジン協会代表に聞く
環境問題への市民の関心も高くEVタクシー移行の加速が見込まれる

「ニューヨーク市では、タクシー1台で自家用車8台分の距離を走ると言われています。環境汚染対策としてタクシーのEV化は意義が大きいし、ガソリン車を減らすことによるエネルギー対策としてとても有効でしょう。試験運用では市民にも好評ですし、懸念されていた充電状況も現状では問題ありません。ただし、現状では急速充電器が市内に2ヶ所しか設置されていません。目標に掲げている全タクシーの3分の1をEVに移行するには、充電インフラの整備も含め、多額なコストも必要になるので楽観はしていませんが、環境対策は人類全体にとっても重大な課題です。目標達成のためには年間10億ドルの予算を組めば、5年で達成できると見込んでいます。環境汚染のことを考えれば、決して高額な金額とはいえないでしょう。市民にも環境問題への関心が強く、理解も得られると考えます」
(ニューヨーク市タクシー&リムジン協会代表・デビット・ヤスキー氏)

利用者の視点

ドライバーのトニー・アプカーさんに聞く

「EVはなんといっても、静かなのがいい。ほかのタクシーと違って、このリーフはイエローとシルバーのツートーンだからカラーリングも目立っていると思う。乗ったお客さんはみんな喜んでいる。EVとわかると興味をみつ人が多く、環境問題に関心のある人は特に喜ぶようだ。ニューヨークではまだEVは珍しいので、中には子どものようにはしゃぐ人もいる。だいたい4時間ほど走って充電しているが、もう少し長く走れるといいと思う。充電はランチタイムやシフトの前後の空き時間を利用して基本的には急速充電器を使っている。普通充電器は時間がかかるので余り使わないが、市内に100箇所ほど設置されているので、自宅の近くなどで使うこともある」

乗客の声

「以前から環境問題には強い関心を持っているので、排気ガスを出さないEVは素晴らしいと思う。それにこんなに静かだとは思わなかった。サイズが少し小さいけど、ひとりで乗る分には気にならないね。ニューヨークのタクシーがEVに移行するのは賛成したい」(30代/男性)

「タクシーにしてはすごくキュートなデザインなので、気になっていた。EVだと聞いて納得。ガソリン車より静かで乗り心地が抜群だと思う。環境に配慮している車だからニューヨーク市民としては支持したい。でも台数が少ないのはちょっと不満。もっと増やせばいい」(20代/女性)