次世代自動車基礎知識
次世代自動車ヒストリー

次世代自動車ヒストリー

1769

蒸気機関式自動車の発明

フランスの二コラ=ジョゼフ・キュニョーが蒸気機関式自動車を発明しました。

1800

電池の発明

イタリアのアレッサンドロ・ボルタがボルタ電池を発明しました。

1821

電動機(モーター)の原理の考案

イギリスのマイケル・ファラデーが世界で初めて電動機(モーター)の原理を考案しました。

1832年~
1839

世界で初めての電気自動車発明

スコットランドのロバート・アンダーソンがモーターを製造し、世界で初めてと言われる簡易な電気自動車を発明しました。

1842

実用的な電気自動車の発明

アメリカのトーマス・ダベンポートが道路を走れる実用的な電気自動車を発明しました。

1859

鉛蓄電池の発明

フランスのガストン・プランテが鉛蓄電池を発明しました。

1873
明治6年

実用電気自動車の開発に成功

イギリスのロバート・ダビットソンが、鉄亜鉛電池(一次電池)を使用した、実用電気自動車の開発に成功しました。

1881
明治14年

充電式電気自動車の実用化に成功

フランスのアミーユ・フォーレが鉛蓄電池を改良し、充電式電気自動車の実用化に成功しました。

1891
明治24年

ガソリンエンジン式自動車の発明

イギリスでガソリンエンジン式の自動車が発明されました。

1899
明治32年

電気カーレースで「ジャメ・コンタント号」が
時速106kmを記録

ベルギーのカミーユジェナッツィが電気レースカー「ジャメ・コンタント号」で時速106kmの高速度記録を達成しました。この記録は1902年まで破られることはありませんでした。
このジャメ・コンタント号は、100年以上たった最近にバッテリーを交換したところ、走行が可能な状態だったそうです。

ジャメ・コンタント号

ジャメ・コンタント号
(La Jamais Contente)
制作者:カミール・ジェナツィ

EVをとりまく環境(19世紀末時点)

この時代の内燃機関自動車は、開発の初期段階にあって、技術的には未熟でした。このため、世界の速度記録は全て電気自動車が独占していました。欧米では電気自動車が最盛期を迎えていたのです。

1900
明治33年

アメリカの生産台数の40%が電気自動車

アメリカの自動車生産台数は約4,000台に達し、そのうちの40%を電気自動車が占めていました。

1908
明治41年

ガソリン車「Ford Model T」の量産開始

アメリカのフォード・モーター社がガソリン車「Ford Model T」の量産を開始しました。

1909
明治42年

トマス・エジソンが電気自動車を製造

トマス・エジソンがニッケル・アルカリ蓄電池を開発、その蓄電池を搭載した電気自動車を製造しました。
当時、鉛電池搭載の電気自動車は走行距離が80km程度でしたが、エジソンの電気自動車は、1回の充電で160kmを走行できる、画期的なものでした。
電気自動車は、騒音が少なく、ガスを排出しないことから、当時の女性にとても人気があったそうです。

エジソンの電気自動車

エジソンの電気自動車

1911
明治44年

日本企業が電気自動車の試作を開始

日本自動車株式会社が、東京電灯会社の輸入車を基にして、電気自動車の試作を開始しました。

1917
大正6年

日本の企業がデトロイト号を5台輸入

アメリカ製電気自動車「デトロイト号」が、京都電灯と日本電池により、合わせて5台輸入されました。

デトロイト号

デトロイト号

1934
昭和9年

日本電気自動車製造設立

日本電気自動車製造が設立され、小型車の製造が開始されました。

デンカ号

デンカ号
製造会社:日本電気自動車製造

1937
昭和12年

中島製作所と湯浅電池が電気自動車を制作

中島製作所と湯浅電池が、商工省より助成を受けて、新設計の電気自動車を制作しました。
この電気自動車は、国内各地および満州、台湾ほかでも使用されました。

中島小型乗用電気自動車

中島小型乗用電気自動車
最高時速:40km/h・定員4名
製造会社:中島製作所

1947
昭和22年

東京電気自動車株式会社設立

東京電気自動車株式会社が設立され、「たま号」の生産、販売が開始されました。

たま号

たま号
製造会社:東京電気自動車株式会社

EVをとりまく環境(1940年代後期・日本)

1940年代後期の日本は、第二次世界大戦終戦直後のガソリン不足で、電気自動車の生産が増加しました。

1949
昭和24年

日本の電気自動車普及台数が3299台に

日本の電気自動車普及台数は、1949年に全国の自動車保有台数の3%にあたる3299台になりました。

ガソリン自動車の革新とガソリンの普及

内燃機関自動車の改良や、ガソリンスタンドの普及などにより、電気自動車は衰退していきました。

1955
昭和30年

道路運送車両法から電気自動車の項目が削除

道路運送車両法から電気自動車の項目が削除され、電気自動車は、街頭からも完全に姿を消しました。

1960年代
半ば

新たな電気自動車の研究が始まる

自動車の排気ガスによる大気汚染が問題になり、新たに電気自動車の研究が始まりました。

1970
昭和45年

大阪万国博覧会で電気自動車が活躍

日本万国博覧会(大阪万博)会場で電気自動車275台が遊覧車として活躍しました。

万博遊覧車

万博遊覧車/ダイハツ工業
最高時速:15km/h
一充電走行距離:135km

1971
昭和46年

通産省工業技術院の大型プロジェクト制度開始

通産省工業技術院による大型プロジェクト制度において、自動車・電機・電池メーカーが参加し、電気自動車の研究開発が開始されました。この年、環境省が発足しました。

EV-2P

EV-2P
通産省電気自動車大型プロジェクト・
第2次実験車

1980年代

排出ガス浄化技術の進歩で電気自動車が衰退

1980年以降、内燃機関自動車の排出ガス浄化技術の進歩で、電気自動車がまた姿を消していきました。

1990
平成2年

アメリカ、カリフォルニア州でZEV法案制定

都市環境問題が社会問題化し、自動車メーカー各社に、地域内の販売台数のうち一定割合の自動車を「無排出ガス化」することを義務づける「ZEV(Zero Emission Vehicle)法案」が、アメリカ・カリフォルニア州で制定されました。
これにより、各自動車メーカーの電気自動車の開発が再開されました。

ニッケル水素二次電池(Ni-MH)の量産開始

1991
平成3年

世界で初めてリチウムイオン二次電池商品化

日本のメーカーにより、リチウムイオン二次電池が初めて商品化されました。
このリチウムイオン二次電池の開発者の一人である吉野彰氏は2019年にノーベル化学賞を受賞しました。

1996
平成8年

アメリカ、カリフォルニア州ZEV規制改定

アメリカ・カリフォルニア州のZEV法が改定され、2003年から10%のZEV(無排出ガス車)販売が義務付けされました。
この年、GMが「EV-1」のリース販売を開始しました。

EV-1

EV-1/GM
リース料:$480~640/月


高性能電池・モーターを搭載した
「第2世代電気自動車」の登場

90年代後半からノートパソコンや携帯電話の急速な普及・技術進歩に伴い、それらに使用される電池の小型軽量化が進みました。
この小型軽量化が進んだ新型電池(ニッケル水素電池、リチウムイオン電池)を搭載した電気自動車は一充電走行距離が200km以上と飛躍的に延び、また永久磁石同期モーターの採用により、内燃機関自動車にも劣らない動力性能が確保されました。
1996年のこの年、トヨタ自動車が「RAV4L V EV」(ニッケル水素電池搭載)の販売を開始、その翌年の1997年には、本田技研工業が「EV PLUS」(ニッケル水素電池搭載)を、日産自動車が「プレーリージョイEV」(リチウムイオン電池搭載)の販売を開始しました。
これら高性能電気自動車は「第2世代電気自動車」と呼ばれました。

RAV4L V EV

RAV4L V EV/トヨタ自動車
最高時速125km/h 一充電走行距離:215km(10・15モード)
モーター:永久磁石同期 電池:ニッケル水素
価格:495万円

EV PLUS

EV PLUS/本田技研工業
最高時速130km/h 一充電走行距離:220km(10・15モード)
モーター:永久磁石同期 電池:ニッケル水素
価格(リース):26.5万円/月

Prairie joy

プレーリージョイEV/日産自動車
最高時速120km/h 一充電走行距離:200km以上(10・15モード)
モーター:永久磁石同期 電池:リチウムイオン
価格(リース):32万円/月

1997
平成9年

ハイブリッド自動車「プリウス」 を発表・販売開始

トヨタ自動車が、世界に先駆けハイブリッド自動車「プリウス」(ニッケル水素電池搭載)を発表・販売を開始しました。

プリウス

プリウス/トヨタ自動車
燃料:28km/l 電動機:永久磁石型同期
電池:ニッケル水素 価格:218万円


地球温暖化防止京都会議(COP3)開催

1997年12月、「第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)」が開催され、いわゆる「京都議定書(気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書)」が採択されました。

1999
平成11年

2人乗りの超小型電気自動車
「ハイパーミニ」「e-com」登場

第2世代電気自動車の価格低減を目指し、短距離走行用途に限定した2人乗りの超小型電気自動車、日産「ハイパーミニ」(リチウムイオン電池搭載)、トヨタ「e-com」(ニッケル水素電池搭載)が登場しました。
また、これら超小型電気自動車とITS(高度道路交通システム)を組み合わせた、新しい交通システム(カーシェアリング)の実証実験が開始されました。ハイパーミニについては、一般販売も行われました。

ハイパーミニ

ハイパーミニ/日産自動車
最高時速:100km/h 一充電走行距離:130km(10・15モード)
モーター:永久磁石同期 電池:リチウムイオン
価格:350万円

e-com

e-com/トヨタ自動車
最高時速:100km/h 一充電走行距離:100km(10・15モード)
モーター:永久磁石同期 電池:ニッケル水素

2002
平成14年

水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)開始

各種原料からの水素製造方法、FCV(燃料電池自動車)の性能、環境特性、エネルギー総合効率や安全性などに関する基礎データを収集のためのプロジェクト、JHFCプロジェクトが始まりました。(2010年まで実施)

2006
平成18年

次世代電気自動車の実証走行試験の実施を発表

三菱自動車工業の「i-MiEV」と富士重工業の「R1e」は、それぞれ電力会社と共同で次世代電気自動車の実証走行試験の実施を発表しました。(両者ともリチウムイオン電池を搭載)

2008
平成20年

次世代電気自動車が北海道洞爺湖サミットに提供

富士重工業の「スバル プラグイン ステラコンセプト」と三菱自動車工業の「i-MiEV」が、北海道洞爺湖サミットに運営協力車両として提供されました。

2009
平成21年

EV・PHVの本格的な市場投入が次々と開始

EVでは、三菱自動車の「i-MiEV」、富士重工業の「スバル プラグイン ステラ」の販売が開始されました。これらEVには急速充電システムが搭載され、これに対応した急速充電器も発売が開始されています。特に「i-MiEV」は、本格的な市場投入車となりました。
一方トヨタ自動車は、2007年から日米欧で公道走行試験を実施してきていた「プリウス プラグインハイブリッド」の限定リース販売を、この年開始しました。

i-MiEV

i-MiEV/三菱自動車工業
最高時速:130km/h 一充電走行距離:160km
電動機:永久磁石型同期 電池:リチウムイオン
価格:438万円

スバル プラグイン ステラ

スバル プラグイン ステラ/富士重工業
最高時速:100km/h 一充電走行距離:90km
電動機:永久磁石型同期 電池:リチウムイオン
価格:450万円

トヨタプリウスPHV

プリウスPHV/トヨタ自動車
日米欧等で限定リース販売

2010
平成22年

電気自動車「リーフ」の販売開始

日産自動車の本格的な市場投入電気自動車、「リーフ」の販売が開始されました。

リーフ

リーフ/日産自動車
最高時速:145km/h 一充電走行距離:200km
電動機:交流同期電動機 電池:リチウムイオン
価格:358.5万円