2014年10月11日(土)、とりぎん文化会館において「EV・PHVタウンシンポジウムin鳥取」を開催いたしました。平成22年にEV・PHVの普及を推めるためにEV・PHVタウンとして選定された鳥取県。今回は、中国・四国地域において初めての開催となるもので、テーマは「EV・PHVカーシェアリングと次世代型エコツーリズム」。県内外の取り組みのほか、パネルディスカッションでは国内はもとより海外のカーシェアリングのアイデアも多数紹介されました。
【シンポジウム来場者数】
214名(登壇者、関係者、メディアを含む)
テーマ
EV・PHVカーシェアリングと次世代型エコツーリズム
講演の様子
午前の部
■10:05~10:25 EV・PHV普及に向けた取組について
平成26年6月に改定された日本再興戦略において、次世代自動車の普及は、2030年までに新車販売に占める割合を5割?7割にするという高い目標が掲げられました。なかでもゼロ・エミッションと呼ばれるEV・PHVおよび燃料電池自動車(FCV)の普及は大きな柱となっています。現在、EV・PHVの累計普及台数は約9万台、急速充電器設備の普及台数は約2,000台。世界に存在する急速充電器の半分は日本にあるといわれています。国内のEV・PHVの販売台数は3年でハイブリッド自動車の販売台数を抜いており、今後も初期需要の創出のための継続的な取組み強化が重要になることが報告されました。
■10:25~10:40 次世代自動車普及促進に向けて
鳥取県は、平成22年12月のEV・PHVタウン選定以降、平成25年度までに累計553台のEV・PHVが導入されました。急速充電設備の人口比当りの普及率では全国トップで、普通充電設備と合わせて110基が整備されています。EV・PHV普及に向けて、鳥取県庁とレンタカー事業者が共同でカーシェアリングに取組むとともに、山間部の大山町では日産リーフ5台によるオンデマンド交通の運用も行われています。
また、「鳥取県次世代自動車充電インフラ整備ビジョン」を新たに掲げ、空の玄関から主要道路、観光地などの充電設備の整備を開始し、2020年までに527箇所を整える計画です。
また、「鳥取県次世代自動車充電インフラ整備ビジョン」を新たに掲げ、空の玄関から主要道路、観光地などの充電設備の整備を開始し、2020年までに527箇所を整える計画です。
■10:40~10:55 JKB女子旅モニターツアーの報告
塚本奈々美
女子カート部(JKB)部長
女子カート部(JKB)部長
2007年の結成からEVカーレースや大学におけるEV講座といった活動を続ける女子だけのレーシングチーム「女子カート部(JKB)」。その女子レーシングドライバーが、実際にEV・PHVを使って関西圏域から鳥取県への3つのルート(大山周遊/中国道179号/ジオパーク周遊)で走行した体験や急速充電の様子が報告されました。
使用されたEV・PHVは、日産リーフ、三菱アイミーブ、アウトランダーなどで、食事や観光を楽しむ間に充電ができるため「得した気分」だったそうです。しかし、今後は充電渋滞や充電マナー、充電設備のさらなる整備、あるいは回生エネルギーをうまく使う運転技術の教育など、すぐ取り組める課題も見えてきたといいます。
■10:55~11:15 おかやま次世代自動車技術研究開発プロジェクトの取組
岡山県は、三菱自動車工業を中核とする自動車関連の中小企業約500社が集積し、県内の製造品出 荷額および従業員数において約10%を占め、基幹産業のひとつを形成しています。そのため、ガソリンエンジン車からHV、EV、さらには FCVといった、自動車関連産業を取り巻く環境が大きく変化する中、県内企業が的確に対応していくことができるよう、次世代自動車技術の研究開発プロジェ クトに取り組んで います。
平成23年度からの第1期3カ年計画では、公募によって県内企業16社が選ばれ、産学官が一丸と なって試作EVの開発に取組み、次世代自動車に求められる新技術・新製品の創出や人材育成に着手。共通の研究開発拠点として、OVECを設け、実用化を視 野に入れた取組の状況が報告されました。
平成23年度からの第1期3カ年計画では、公募によって県内企業16社が選ばれ、産学官が一丸と なって試作EVの開発に取組み、次世代自動車に求められる新技術・新製品の創出や人材育成に着手。共通の研究開発拠点として、OVECを設け、実用化を視 野に入れた取組の状況が報告されました。
※OVEC(オーべック):おかやま次世代自動車技術研究開発センターの略
■11:15~11:40 三菱アウトランダー プラグインハイブリッドEVの魅力
三菱アウトランダーPHEVは、世界のラリーで活躍しているパジェロの4WD技術、電気自動車アイミーブのモーター技術を投入。リチウムイオン電池は床下に配置し、前後にツインモーターを配備。エンジンは発電をメインに行うために搭載しており、充電口には他社のPHEVにはない急速充電口を備えています。
わずか4時間でフル充電ができ、電気走行をすれば走行中の排出ガスはゼロ。さらに、ボタン操作ひとつで、発電用エンジンからバッテリーへの充電が行える仕組みで、45リットル搭載できるガソリンエンジンでの発電を併用すると、災害時には約10日間も一般的な家庭の電力をまかなえる点などが紹介されました。
わずか4時間でフル充電ができ、電気走行をすれば走行中の排出ガスはゼロ。さらに、ボタン操作ひとつで、発電用エンジンからバッテリーへの充電が行える仕組みで、45リットル搭載できるガソリンエンジンでの発電を併用すると、災害時には約10日間も一般的な家庭の電力をまかなえる点などが紹介されました。
午後の部
■13:00~13:30 EV City Casebook and EV car sharing in the world
デービッド・ビートン博士からは、EVによるモビリティの未来を目指す世界の先進事例集「EVシティーケースブック」を通して、EVとカーシェアリングの2つを結びつけるビッグアイデア(政策・技術・ビジネスモデル)について報告が行われました。
2014年、EVをめぐる取組みは大きな転換点を迎え、初期のEV購入者層を対象にすることから地球規模でのマスマーケット普及を目指すことが提唱されました。「EVシティーケースブック」には、世界規模での具体的かつ革新的なアイデアが集められています。今回の鳥取での教育や啓蒙活動もその一環として捉えられるといいます。
■13:30~13:50 パーク24グループにおけるEV普及への取組
-駐車場での充電インフラとEVカーシェアの取り組み-
駐車場サービスとカーシェアのオペレーターとしてのサービスを提供するパーク24グループ。グループ全体で約1,500名を抱え、タイムズ24の駐車場は全国で約14,000箇所、カーシェアリングのステーションは約5,400箇所、保有車両は1万台弱、会員数はほぼ40万人にのぼり、日本最大といえます。
EV普及に向けて、駐車場に車を止めている間に行う普通充電サービスを展開しており、充電料金はすべて無料、駐車代金に含まれるという考え方。一方、EVカーシェアリングに関しては、官公庁と共同で利用実態調査も兼ねて運用し、EVコンパクトカーへの短時間利用ニーズが見えてきたといいます。
EV普及に向けて、駐車場に車を止めている間に行う普通充電サービスを展開しており、充電料金はすべて無料、駐車代金に含まれるという考え方。一方、EVカーシェアリングに関しては、官公庁と共同で利用実態調査も兼ねて運用し、EVコンパクトカーへの短時間利用ニーズが見えてきたといいます。
■13:50~14:10 鳥取県型EVカーシェアリングの取組
米井哲郎[資料]
智頭石油株式会社 代表取締役社長
智頭石油株式会社 代表取締役社長
地域の中でどのようにガソリンスタンド事業を革新し継続していくか、地元にどうすれば貢献していけるのかを模索した答えのひとつが智頭石油が取り組むEVカーシェアリングです。
現在、ガソリンスタンドの事業は8箇所、レンタカー事業は直営および提携店を含めると19店舗・約100台で、そのうちEV・PHVのカーシェアリング事業には直営店で11台、提携店を加えると計26台の車両を用意。EVカーシェアリング事業は、鳥取県庁との共同事業として始められ、平日は県庁の公用車、週末は一般利用としてスタートしたもの。将来的には、すべてのガソリンスタンドに充電器を整備し、地域モビリティと観光資源との連携に貢献していく決意が述べられました。
現在、ガソリンスタンドの事業は8箇所、レンタカー事業は直営および提携店を含めると19店舗・約100台で、そのうちEV・PHVのカーシェアリング事業には直営店で11台、提携店を加えると計26台の車両を用意。EVカーシェアリング事業は、鳥取県庁との共同事業として始められ、平日は県庁の公用車、週末は一般利用としてスタートしたもの。将来的には、すべてのガソリンスタンドに充電器を整備し、地域モビリティと観光資源との連携に貢献していく決意が述べられました。
■14:20~16:00 パネルディスカッション
-EV・PHVカーシェアリングと次世代型エコツーリズム-
鳥取県での観光資源と観光客、そこに暮らす市民が使いやすいEV・PHVのカーシェアリングの事例のほか、超小型モビリティによる実証実験なども報告されました。また、子育て家族や保育園の待機児童支援も視野に入れたEVカーシェアリングの取組みは、生活に密着した試みとして大きな注目を集めました。一方、海外の例では、若者のクルマ離れ対策としてEVカーシェアリングを活用するなど、多彩なアイデアが紹介されました。
○コーディネーター
川端由美
モータージャーナリスト・環境ジャーナリスト
○パネリスト 石川響子 日本EVクラブ
間地信夫 パーク24株式会社
米井哲郎 智頭石油株式会社
中山貴雄 鳥取県生活環境部部長
モータージャーナリスト・環境ジャーナリスト
○パネリスト 石川響子 日本EVクラブ
間地信夫 パーク24株式会社
米井哲郎 智頭石油株式会社
中山貴雄 鳥取県生活環境部部長
プログラム
開催日時 | 2014年10月11日(土) 10:00~16:00 | |||||
場 所 | 「とりぎん文化会館」 鳥取市尚徳町101-5 | |||||
定 員 | 約200名 | |||||
実施内容 | 【第一部・午前】 10:00-11:40 | |||||
主催者挨拶 | 10:00-10:05 | (一社)次世代自動車振興センター 代表理事 杉浦 精一 |
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講演 | EV・PHVの普及に向けた取組について | 10:05-10:25 | 経済産業省 製造産業局 自動車課 電池・次世代技術・ITS推進室長 吉田 健一郎 |
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講演 | 次世代自動車普及促進に向けて | 10:25-10:40 | 鳥取県生活環境部 環境立県推進課 課長 広田 一恭 |
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報告 | JKB女子旅モニターツアーの報告 | 10:40-10:55 | JKB 部長 塚本 奈々美 | |||
講演 | おかやま次世代自動車技術研究開発プロジェクトの取組 | 10:55-11:15 | 岡山県産業労働部産業振興課 総括副参事 堂本 竜也 |
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講演 | 三菱アウトランダープラグインハイブリッドEVの魅力 | 11:15-11:40 | 関東三菱自動車販売株式会社 営業推進本部EV推進部 部長 内田 充 |
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昼休憩 11:40-13:00 | ||||||
【第二部・午後】 EV・PHVカーシェアリングと次世代エコツーリズム 13:00-16:00 | ||||||
講演 | EV City Casebook and EV car sharing in the world |
13:00-13:30 | International Energy Agency, IA-HEV Operating Agent, Director of Urban Foresight Corporation Dr. David Beeton |
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講演 | パーク24グループにおけるEV普及への取り組み | 13:30-13:50 | パーク24株式会社 会員事業開発部 部長 間地 信夫 |
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講演 | 鳥取県型EVカーシェアリングの取組 | 13:50-14:10 | 智頭石油株式会社 社長 米井 哲郎 |
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休憩 14:10-14:20 | ||||||
パネルディスカッション | EV・PHVカーシェアリングと次世代エコツーリズム | 14:20-16:00 | コーディネーター ○モータージャーナリスト/ 環境ジャーナリスト 川端 由美 パネリスト ○日本EVクラブ 石川 響子 ○パーク24株式会社 間地 信夫 ○智頭石油株式会社 米井 哲郎 ○鳥取県 生活環境部 部長 中山 貴雄 |
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参加費 | 無料(事前登録制) | |||||
主催等 | 主催:経済産業省、一般社団法人次世代自動車振興センター 共催:鳥取県 協力:岡山県 |