次世代エネルギーがもたらす新しいまちづくりをテーマとした総合展示会「スマートコミュニティJapan 2015」が開催され、3日間で延べ4万人以上が来場しました。そのうちの一つ「次世代自動車展」では、次世代自動車振興センターがEV・PHVと充電設備を一堂に集め、各社の取り組みと補助金制度の紹介を行いました。
開催日:2015年6月17日(水)~19日(金)
開催場所:東京ビッグサイト東2・3ホール
次世代エネルギーがもたらす新しいまちづくりをテーマとした総合展示会「スマートコミュニティJapan 2015」が開催され、3日間で延べ4万人以上が来場しました。そのうちの一つ「次世代自動車展」では、次世代自動車振興センターがEV・PHVと充電設備を一堂に集め、各社の取り組みと補助金制度の紹介を行いました。
これほど多彩な充電設備が一つのブースに集結されることは珍しく、それぞれの機能や特徴を一度に比較できる次世代自動車振興センターのブースに来場者の注目が集まりました。
特に自治体関係者は、EV・PHVや充電設備をどのようにまちづくりに活かすことができるのかなど、補助金制度を活かした設備の導入方法に興味を示していました。
本レポートでは、今回の次世代自動車展で特に注目されたポイントを紹介します。
三菱電機が今年から力を入れているテーマは、「家庭のエネルギーの自給自足」。今回出展された「Smart V2H」は、3つのエネルギー源(EV・PHV、太陽光発電、電力会社)を家庭で併用することができ、電気料金の安い夜間に電気をEV・PHVに充電し、それを昼間に使うことで節約と自給を両立できる仕組みを実現しました。例え停電が発生したとしてもEV・PHV に貯めた電気を非常用電源として利用できるので安心です。今年は、充電設備購入費に加えて設置工事費も国の補助金が受けられるようになり、EV・PHVユーザーの関心が更に高まってきています。
EVのバッテリー残量や電気の流れなど、必要な情報を一目で確認できます。ライフスタイルに合わせてエコノミーモード、グリーンモード、自立運転(モード(非常時))などの設定が可能となっています。
ニチコンが出展された急速充電器(10kW)は、目的地充電の充実につながる新製品で、特に地域活性化を目指して開発を進めています。
観光地などの設置環境を想定して小型化し、2時間ほどで満充電にできるのが特徴。会場を訪れた自治体や地域のスーパー、娯楽施設事業者などが熱心に説明を受けていました。
「この秋発売を予定している急速充電器は、価格を200万円以下に抑えて、補助金の効果を実感していただきやすくしたい」とニチコン担当者。観光地、宿泊・商業施設などの長時間滞在型施設で、行楽やショッピングの合間に充電ができる設備はお客様の不満解消、また集客にもつながるので、ぜひ活用していただきたいとのこと。
今回パナソニックは、マンションや公共的な施設等に設置されることが多い普通充電器を展示されました。この充電器は、1台で3車両の“同時充電”が行えるもので、利用者の充電待ちを減らせるほか、LANでお客様のパソコンと接続し、利用実績管理が行えることが強みなんだとか。
ICカード、ID・パスワード、暗証番号の3つの認証方式があるので、特定の住民が使用するマンションなどではICカード、不特定多数が訪れる公共施設では運用しやすい暗証番号など、設置場所に応じて認証方式を変更することが可能です。
EV・PHVの販売は累計10万台を超え、スマートハウスへの関心も高まっています。パナソニックのお客様は、EV・PHV 用充電コンセントを購入される方も多いのだという。今年は、家庭や法人事務所で設置されるコンセントスタンドも補助金対象となっており、社用車の購入や住宅の購入・建て替えを考える来場者の関心も高いものがありました。
この普通充電器「EVC2」は、“親子構成”で増設できる点が特徴です。今後販売予定のこの充電器は、親機1台に対し、安価な子機を最大9台まで増設可能で、単に充電器数を増やすよりも初期投資を抑えられるようになるという。さらに、充電設備に課金システムを導入する場合、課金情報を伝えるモバイル通信が必要となるが、その通信コストは親機1台分で済むのだとか。複数台の導入を考えている事業者には大きな魅力です。
幾つもの子機を同時に充電した場合、設置事業者の契約電力を超えてしまう状況が想定されます。これを回避すべく、豊田自動織機は、親機が子機の充電量を制御し、コスト増加を抑える取り組みづくりを始めています。
この秋発売の新型モデルは、従来機能に加え、大型ディスプレイを採用し、商業施設などのPR情報も表示することが可能になりました。担当者からは、「今後も充電設備のユニークな価値を作る試みを続けていきたいです」と今後の製品開発に向けた意気込みが聞かれました。
フォーアールエナジーからは、蓄電池機能付の普通充電器「ENEHAND(エネハンド)」が出展されました。
大容量12kWhの蓄電池には、安価な夜間や、昼間の太陽光発電の電力を約1日分貯めておくことができます。これをEV・PHVのみならず、家全体に供給することができるほか、停電時に蓄電池からの電源確保が可能なため、万が一の時にも安心です。
「ENEHAND」は、一般家庭向けの蓄電池内蔵タイプと、公共施設向けに蓄電池と充電スタンドを切り離した蓄電池別体タイプがあり、設置場所に合わせて選択できます。
▲公共施設向け蓄電池別体タイプ
「長?い充電ケーブルを自動で巻き取る!」そんなユニークな製品がモリテックスチールの普通充電器の魅力。開発のきっかけは、社用車に使用しているi-MiEV。充電後、ケーブルをしまうときに手が汚れ、次第に乗るのを敬遠する社員が増えてきたのを見て、得意とするリール巻き取り技術を遊び心で組み込んでみたことが始まりだそうです。実際に引き出された充電コネクタを本体に戻してみると、まるで掃除機のコードのようにスルスルとケーブルを巻き取ってくれました。
自動巻き取り機能の良さは、実際に電気自動車の充電ケーブルを扱った人にしかわかりにくい。買い物で手がふさがっていたり、駐車場で幼い子供の手をつないでいる姿などを想像してみると、すべて片手で収納できるのは思った以上に便利そう。
この充電器は、自動巻き取り機能の搭載と同時に本体のスリム化を実現しました。幅104mmにスリム化した設備は、スペースに制限のあるパーキングやマンションの立体駐車場などでも設置しやすいことから、都市部でのニーズが期待されています。
新電元工業の充電設備は、安定性と信頼性にこだわりを持っているのだといいます。
同社は、長年、携帯電話やインターネットなどの通信基地局の電源設備を手がけており、その実績と技術を充電設備に生かしているのだそうです。充電設備が発する電磁波のノイズ低減や、落雷時の迅速な復旧へこだわっており。厳しい自然環境での設置が多い充電設備には、頼もしい品質と言えます。
新電元工業では、万が一、落雷がケーブルを伝わってきたとしても本体に侵入する前に遮断するブロック装置を内蔵。被災した際にはブロック装置の交換のみで即座に復旧できるという。ホテルや旅館など、お客様へのリスクを心配される施設等に選ばれているそうです。
▲手前が子機、奥が親機
国の補助金対象となる普通充電設備は、すべて一般財団法人日本自動車研究所(JARI)の安全性および機能評価等の審査に合格しなければならない。新電元工業は、JARI認証を取得し、設置を希望される事業者の安心と信頼に応えていることを強調していました。
次世代自動車振興センターは、スマートコミュニティJapan 2015の一角において、「平成26年度補正予算による充電インフラ整備促進事業」への補助金説明会を行いました。
今回の来場者の多くは自治体関係者や事業者が占めており、設備購入費に加えて設置工事費も補助対象となった点などが注目されました。