- 「次世代自動車振興センター(NeV)ブース出展」
&「EVシティケースブック2014」紹介セミナー開催」 - 開催日
出展:2014年9月17日(水)~19日(金)
セミナー:2014年9月17日(水)
場所:東京ビッグサイト 東2・3ホール
EV・PHVの技術展から普及活用技術展へ。
EVEXは、国内初のEV(電気自動車)専門展示会としてスタートしましたが、5回目を迎えた今年からは、展示会の趣旨を「電気自動車開発技術展」から「EV・PHV普及活用技術展」へと変えて開催されました。
次世代自動車振興センター(NeV)では、EV・PHV並びに充電インフラの普及拡大を目指して、最新のEV・PHVや充電器と補助金制度、先進的な取組みを続ける国が定めた18のEV・PHV普及とその取組みの紹介等を行いました。また、IEA(国際エネルギー機関:International Energy Agency)が中心となってEV・PHVの先進事例やビッグアイデアを世界各国から募集し選定した「EVケースブック2014」とそのケースブックに日本から選出された自治体の取組みについて紹介いたしました。
- 【EVEX来場者数】
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- 17日 9,239人
- 18日 10,602人
- 19日 12,443人
出展ブースの様子
「EVケースブック2014」紹介セミナーの様子
テーマ「次世代自動車の技術開発と普及に関する将来展望」
- 【基調講演】大聖 泰弘
- 早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科長 教授
- 日時:2014年9月17日 10:15?11:00
テーマ「Global Preview Second Edition of EV City Casebook: Big Ideas from Around the World」
- 【海外招聘講演】Tali trigg
- IEA Energy Analyst
- EVシティケースブック担当者
- 日時:2014年9月17日 11:00?11:45
EVシティケースブック2014に選ばれた自治体 発表講演の様子
東京都江東区の発表
江東区は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、37施設競技場の内、17施設競技場が予定されているエリア。東京湾の臨海部を中心に開発・発展している。人口は約49万人(2014年9月)、毎年5,000人ずつ人口が増えており、人口の8割、約40万人が集合住宅に居住している。
EVの普及を考えたときに、マンションに充電設備があるかないかは、購入を大きく左右する要因となる。しかし、既築マンションの駐車場への設置はコスト高となる。マンションの大規模改修を待つのでは、40年、50年も先になってしまうなど課題は多かった。そこで、平成22年8月1日より、「江東区マンション等の建設に関する指導要綱」を定め、新築マンションや中・高層ビルの駐車場において、収容台数の1割以上に充電設備を設けることを推進している。この取組みは、年間70前後の集合住宅が新築される江東区において、資産価値を高めることにも貢献している。
鹿児島県薩摩川内市の発表
また、ビジョンの中では、10~20年先の『ありたい姿』として『薩摩川内市の未来像』を描き、そのために必要な具体的な取り組みを行動計画として策定。そのリーディングプロジェクトとして、川内駅から甑島へ向かうバスを電気バス化し、渡った甑島では、EV(3台)のレンタカーと公用車のカーシェアリング、さらには今回選定された超小型モビリティ(20台)による実証実験を行っている。
甑島は南北に40km、人口約5,000人、65歳以上の割合が42%の高齢化した島だ。しかし現在、国定公園化に向けて取り組んでおり、EVやモビリティの活用等による島のエコアイランド化を目指している。超小型モビリティの活用は、昨年8月から開始し、1年が経過したところである。
当初、島民は電気自動車を見るのは初めてで、“電欠する”(途中で停まる)のではないか、登坂能力は本当に大丈夫なのかなど、漫然とした不安感があった。そこで、市の職員とその家族等で島の観光地を“走らなくなるまで走ってみよう”という電欠リレーマラソンを開催。8台で島を巡ったが、実際に電欠したのは1台だけであり、最も長く走った車の走行距離は、約86kmであった。この電欠リレーマラソンの参加者の声が島のEV活用を大きく後押しした。薩摩川内市の超小型モビリティやEVの普及促進の取組みは、甑島地域だけではなく、本土地域への水平展開も念頭に置いている。
愛知県県豊田市の発表
この中で、家庭内の取組みとして、市内に太陽光パネル、HEMS、蓄電池とEV・PHVを備えたスマートハウスを67戸整備し、実際に市民に居住して生活してもらう実験を行っている。家庭内エネルギーの55%削減効果(エコ意識の高い家庭では75%削減)があった。また、豊田市では、次世代自動車や充電設備の普及のための補助金制度を実施しているほか、過去には、市で購入したPHV20台を市民と共有する試みも行った。市内には、22カ所・33基の充電器を設置し、豊田市を10kmメッシュで切ったときに必ず充電器がある状況を実現している。
今回、選定されたのは「Ha:mo(ハーモ)」という取組み。クルマと公共交通を組み合わせたルート案内サービスや、超小型電気自動車と電動アシスト自転車を利用したハーモ二アス・モビリティ・ネットワークをいう。現在、市内31以上のステーションで、超小型電気自動車100台、電動アシスト自転車100台を配置し、2,500人以上が登録し活用している。
特徴的なのは、スマートホンで、利用車両の予約ができることやルート案内サービスのメニューから「安い順」「速い順」に加えて「エコ順」を選べること。
また、プリウスのPHVを学校に持ち込んで、夜間に小学生に泊まってもらい、災害時などを想定し、PHVからの電力供給を実際に体験してもらう試みも実施している。
こうした社会実験の様子は、豊田市民はもちろんのこと、取組みの見える化の施設として整備したエコフルタウンの見学者を中心に、世界70カ国、10万人にも広く伝えられている。
展示ブースの様子
展示ブースでは、左右のゾーンに国産各社の最新EV・PHVを展示し、 それらと併設する形で世界初のV2H充電器システムや家庭向けの系統連携型充電器システムなどを展示・解説しました。 また、ブースの中ほどでは補助金の仕組みと概要を紹介、その奥ではEV・PHVタウンに選定された 18都市のこれまでの取り組みをパネルで見ていただきました。 EV・PHVの普及に伴い、充電器の仕組みや災害時の活用などに対する一般ユーザーからの関心の高さが印象的でした。
INTERVIEW 充電器コーナー
ニチコン株式会社
「最近は、電気自動車(EV)の電気を、家庭でも使えないか?あるいは、どうやってEVと家庭の電気をつなぐのか?という声が増えてきました」と語るニチコン株式会社。同社は、V2H(Vehicle to Home)と呼ばれる、電気自動車と家庭をつなぎ、電気をかしこく使うしくみを世界で初めて開発した。EVの直流電力を家庭の交流電力に、あるいは家庭の交流をEVの直流に変換する装置だ。災害時などは、EVの電気を家庭に送って、非常時のライフラインを守るという。ちなみに、価格は設置費用は別で、本体価格は48万円(税別)。半分を国の補助金でまかなうことができる。
3つ同時につないで使える「SMART V2H」
三菱電機株式会社
EVの電気、太陽光発電の電気、そして通常の系統の電気。これらをミックスしてシームレスに使えるシステムが、今回メインで展示されていた三菱電機株式会社の「SMART V2H」。この世界初のしくみは、どのように使うとメリットがあるのかを尋ねてみた。たとえば、通勤から帰宅したEVは深夜電力で充電、朝起きたらEVの電力で家庭に給電、通勤にEVと出かけたら太陽光発電で日中は過ごし、余った電力を余剰売電価格で高く売るという使い方ができるという。できるだけ購入電力量を抑えてエコな暮らしを目指したい家庭では、太陽光発電で昼間はまかない、余った分はEVに充電。夜間はEVからの給電で暮らすこともできるそうだ。電力の自給自足も視野に入ってきたわけだ。
パナソニック株式会社
業界で初めて充電スタンドに名前をつけたというパナソニック株式会社。その名は、ELSEEV(エルシーヴ)。「ガソリン」から「電気で充電」に変わるということから英語のVEHICLEを逆さから読み整え「ELSEEV」と名付けた。これは普通充電器で、利用者はICカードで認証し充電ができる。スタンド本体には、充電の履歴が残るしくみで、設置者はそのデータに基づいて利用実績の集計が可能だ。このスタンドなら、ユニットを増設することで最大3台同時に充電ができる。仲間とのドライブや混雑時には充電待ちの心配がない。
INTERVIEW 展示ブース
ユーザーが現れてほしいですね!
EVEX 2014 実行委員長 大聖 泰弘
「人類の歴史は飢餓の歴史ですから、坂道が登れるか心配とか、“電欠”が心配など、先に先に考えてしまうんですね。そういうときに、実際のEVユーザーの声が世の中に広まってくれれば、心構えもできますし、適切な対応もできると思うんです」(大聖 実行委員長)。
今回のEVEX会場では、実際のEVユーザーも増えていた。充電インフラの整備の進展や、太陽光発電などとEVの組み合わせも可能になり、関心が高まっているといえる。
一方で、EV・PHVは、新たな産業の裾野をひろげてもいる。学生達の関心も高く、実際に求人も多いという。また、会場では、EVの軽量化など、素材分野の革新的な展示も増え、他の産業分野から熱い視線が注がれていた。EVEXをハブにして、ここから見える未来が明らかになってきているようだ。
共感を覚えますね。
IEA(国際エネルギー機関) Mr. Tali Trigg
EVシティケースブックの選定や掲載では、特にランク付けは行っていない。だが、全世界のアイデアを詳細に見てきたTali氏は、個人的にどのような日本の先進事例やアイデアに共感したのだろうか。「私の活動拠点はパリですから、クルマも多く、土地も狭いわけです。そういう環境で暮らしていますと、日本で始まっているEVのカーシェアリングや超小型のモビリティ実験、スマートコミュニティなどのプロジェクトは個人的にも興味深いですね」。
そして、同氏が展示会場で初めて実物を目にしたというのは、ホンダのアコードのトランクに収納できるコンパクトな外部給電器。PHVの直流電力(DC)を、どこでも手軽に交流電力(AC)に変換できる製品だ。走る電池といわれるEV・PHVの活用範囲をさらに広げるものだ。
最後に、Tali氏は、「次世代の自動車は、コミュニティを越えて、地域や国境を越えて、国や文化を越えて取り組むビジョンを担っている」と熱く語った。
Tali氏とNeVスタッフ
多くのご来場をいただき嬉しいですね。
EVEX 2014 事務局
「EVEXは今回で5回目になります。今までは電気自動車の技術展でしたが、今回からはEVの普及・活用へも力を入れました。また、軽量化をはじめ、素材関連の展示も行っています。おかげさまで、年々右肩上がりで入場者も増え、この場をお借りして御礼申し上げます。」
来年は、ぜひとも海外の自動車メーカーや関連機器をEVEXに招きたいという。EVEXが、世界から見てもEV・PHV発展のためのひとつのケースといえるのかもしれない。